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2025/10/16

革製品の歴史:人と革の7,000年の物語

革製品の歴史:人と革の7,000年の物語

私たちの生活の中で、革という素材は特別な存在感を放っています。しなやかで強く、経年変化を楽しめる風合いは、工業素材では決して再現できない魅力を持っています。靴、鞄、衣類、家具、道具──革は古代から現代まで、さまざまな形で人類の暮らしに寄り添ってきました。

では、その革製品の歴史は、いったいどこから始まったのでしょうか?
ここでは、革が生まれ、育ち、進化してきた長い歴史をひもといていきます。

地図

古代の革:生きるための道具として

革の歴史は人類の歴史とほぼ同じくらい古いといわれています。現存する最古の革製品は約5,000~7,000年前のもので、ユーラシア大陸の考古遺跡から出土しています。

人類が狩猟を生活の中心としていた時代、動物を仕留めた後は、肉を食べ、骨や皮を道具に加工して活用しました。動物の皮は、防寒具や日よけ、さらには住居の材料としても重宝されましたが、問題は「腐敗」でした。生皮はすぐに腐ってしまいます。ここで「なめし」という技術が生まれます。

原始的ななめし技術

初期のなめしは、動物の脳や煙を使う方法だったと考えられています。特に脳には脂質や酵素が含まれており、皮を柔らかく保ち、腐敗を遅らせる効果がありました。煙でいぶす方法も、皮に防水性や防腐性を与える手段として使われていたと推定されています。

こうして「革」が生まれたのです。単なる皮から、長期間使える「素材」へと進化したことで、人間は気候や環境への適応力を大きく高めました。

古代文明と革の発展

エジプト、メソポタミア、インダス、中国──古代四大文明のいずれにも革の利用記録があります。特に古代エジプトでは、紀元前3,000年頃には高度ななめし技術が存在していたとされ、保存状態の良いサンダルや革の巻物、装飾品が出土しています。

軍事と革

戦いの道具としても革は重要な素材でした。盾、兜、胸当てなどの防具に革は多用されました。金属より軽く、動きやすく、なおかつ衝撃を緩和してくれる革は、古代兵士たちの命を守る上で欠かせない存在でした。

文字と革

一方で、革は「記録媒体」としても使われました。パピルスが貴重だった地域では、羊や山羊の革をなめした「パーチメント(羊皮紙)」が用いられ、宗教や法律の記録に使われました。これが後の書籍文化を支える技術にもつながっていきます。

本

中世ヨーロッパ:革の芸術化と産業化のはじまり

中世に入ると、革の利用はより多彩になっていきます。教会や王侯貴族は、美しく装飾された革製品を権威の象徴として愛用しました。馬具、ブーツ、鞄、鎧など、装飾と機能性を兼ね備えた革製品が次々と生まれていきました。

ヨーロッパのなめし技術

この時代、植物タンニンを用いた「タンニンなめし」が主流となりました。ミモザやオークの樹皮から抽出したタンニン液に、皮を何日も漬け込むことで、革に耐久性と独特の色味を与える技法です。

なめし工房は、都市の川沿いや郊外に集まりました。川は水の確保に適している一方で、なめし作業の匂いは非常に強いため、住宅地とは距離を置く必要があったのです。

近世~産業革命:革の大量生産とファッション化

17世紀から18世紀にかけて、革は「実用品」から「嗜好品」へと立場を変えていきます。職人たちは革を柔らかく、美しく仕上げる技術を高め、上流階級のファッションアイテムとしての革製品が増えていきました。

産業革命と化学なめしの誕生

19世紀、産業革命が起こると、化学の進歩により「クロムなめし」が登場します。これは塩基性硫酸クロムを使った方法で、タンニンなめしよりも短時間で処理ができ、より柔らかく、軽く、均一な革を生産できるようになりました。

これにより、靴やカバン、手袋といった日用品の大量生産が可能になり、革製品は中産階級以下にも広く普及していきました。

スーツケース

日本における革の歴史

日本における革の歴史は、古代から現代に至るまで生活や文化と深く結びついてきました。縄文時代には狩猟で得た獣の皮を衣服や敷物として利用し、防寒や生活道具に欠かせない素材でした。奈良時代になると、大陸から革の加工技術が伝わり、馬具や武具、仏教儀式に用いる装飾品などにも広がります。平安時代には牛革を使った「韋(かわ)」が貴族の装束や調度品に取り入れられ、上流階級の権威を示す存在となりました。戦国時代には武士が使う甲冑や具足に革が重宝され、軽量かつ丈夫な素材として戦の必需品となります。江戸時代に入ると、武具から日用品へと用途が変化し、履物や袋物など庶民の暮らしにも普及しました。明治以降は西洋文化の影響を受け、靴や鞄といった近代的な革製品が急速に広まり、産業としても発展します。現代では伝統的ななめし技術と最新の加工法が融合し、ファッションやインテリア、工芸品に至るまで幅広く活用され、日本独自の美意識と職人技を伝える存在となっています。

日本でも革の歴史は古く、古墳時代(3世紀~7世紀)にはすでに馬具や武具に革が使用されていた記録があります。特に奈良時代の正倉院には、鹿革や牛革でつくられた装飾品や武具が保管されています。

江戸時代の革文化

江戸時代になると、革は主に武士の装備品や火消しの道具、職人の作業具などに使われていました。日本独自の「白なめし革」は、塩と米ぬかを用いた柔らかく白い仕上がりで、刀の鞘や武具、祭礼具などに多用されました。

とはいえ、日本では仏教や儒教の影響により、動物を殺してその皮を用いることには一定の忌避感があり、「革」は長く被差別民に限定された職業とされてきた歴史もあります。

現代の革文化:伝統と革新の交差点

20世紀に入り、革は再び「高級素材」としての地位を確立します。自動車シートや高級家具、ブランドバッグ、ライダースジャケットなど、「一生モノ」の製品としての革の価値が見直されていきます。札幌革研究所にも多種多様な革製品をお持ちになられるお客様が多数いらっしゃいます。

レザーアートとデザイン性

現代の職人たちは、染色や型押し、カービングといった技巧を駆使し、芸術作品ともいえるような革製品を生み出しています。伝統工芸とモダンデザインが融合した、唯一無二のプロダクトが多数誕生しています。

エシカルレザー・植物性レザーの登場

近年では、動物福祉や環境問題への意識の高まりから、「エシカルレザー」「ベジタブルタンニンレザー」さらには「アップルレザー」「マッシュルームレザー」など、植物由来の革代替素材も登場しています。

ただ、こうした新素材も「革」とは異なる風合いや耐久性を持っているため、本物のレザーを好む愛好家も多く、二極化が進んでいます。

馬の鞍

革の未来:人とともに変わり続ける素材

革は「古い素材」であると同時に、「最先端の素材」でもあります。その理由は、革が「人間の暮らしに寄り添い続けてきた」からです。変化し、進化し、文化とともに歩んできた革は、今後も時代の価値観と向き合いながら、新たな可能性を切り拓いていくでしょう。

時代によって姿を変え、使われ方が変わっても、「生きた素材」としての革の魅力は変わりません。だからこそ、私たちはこれからも革に魅了され続けるのです。

 

店舗情報:革のことなら何でも!

革研究所 札幌店

住所:札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F

電話番号:011-600-6858

営業時間:平日10~19時

修理対応エリア:北海道 札幌市全域エリア

革研究所HP:https://sapporo-kawa-kenkyujyo.com/

 

革修理対応製品

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革鞄・バック

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革の鞄(カバン)のスレやキズの補修、変色、革の色を変える(カラーチェンジ)までお任せください。VUITTON(ヴィトン)GUCCI(グッチ)等の革ブランド品も修理可能です。

財布・小物

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革財布(サイフ)、小銭入れ、キーケース等の小物全般の革のキズ、スレをキレイに修理いたします。CHANEL(シャネル)GUCCI(グッチ)等のブランド革小物の修理ももちろんOKです。

革靴・ブーツ

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男性物の革靴、女性物のブーツ等靴の革修理(スレ・キズの補修)も可能です。思い出の有る革靴等の修理はお任せください。もちろん革靴の修理に関してもブランド靴の修理可能です。

革衣類

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革ジャン、革コート・革のジャケット等革衣類の修理、補修もお任せください。部分的なスレ・キズの補修から、革全体の色を変える(カラーチェンジ)まで幅広く対応いたします。

ソファー・椅子

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革ソファー・革の椅子の修理実績も多数ございます。痛み具合によっては革の張替えも可能です。カッシーナ(CASSNA)等のブランドソファー修理もお気軽にご相談ください。

自動車内装

自動車内装

自動車の革ハンドル・革シートの修理(リペア)も可能です。ベンツ・BMWなどの高級外車から、国産の自動車まで数多くの修理実績がございますのでお気軽にお問合せください。

店舗情報

革研究所 札幌店

代表者 城台 悦史
所在地 札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F
TEL 011-600-6858

対応エリア
北海道 札幌市全域エリア

当店の革修理は革の事を知り尽くした熟練職人が一点一点丁寧に修理・補修いたします。思い出の有る大切な革製品を安心してお任せください。また、ブランド品(VUITTON・CHANEL・GUCCI等)の革修理経験も豊富です。革のキズやスレの補修はお任せください。革修理の御見積やお問合せはもちろん無料です。

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