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革修理ブログ
2025/12/30
革が出来るまで

私たちが手にする革財布や靴、バッグ、ジャケット。
その美しい質感や香り、経年変化の味わいに惹かれる人は多いでしょう。
しかし、その「革」は、どのような工程を経て作られているのかを知る人は意外と少ないものです。
革は、動物の「皮」から作られます。
ただし「皮」と「革」は似て非なるもの。
「皮」は動物の生の皮膚、「革」はその皮を腐らず丈夫に加工した素材を指します。
この記事では、「革が出来るまで」の工程を、原皮の段階から製品になる直前まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。
革の旅は、動物の命をいただくところから始まります。
多くの革は、食肉産業の副産物として生まれます。
つまり「革を作るために動物を殺す」ということはほとんどありません。
牛革、豚革、羊革、山羊革などは、食肉加工の際に残る「皮」を再利用する形で入手されます。
原皮の調達先は世界各地に及びます。
たとえば、イタリアの高級タンナーでは南米産のステアハイド(成牛皮)を輸入し、日本国内のタンナーもオーストラリアや北米産の原皮を扱うことが多いです。
皮は生のままではすぐ腐敗するため、塩漬け(ソルトピックリング)や冷凍保存によって劣化を防ぎ、加工場まで運ばれます。
工場に運ばれた原皮は、まず「塩抜き」や「水戻し」と呼ばれる工程を経ます。
これは、長距離輸送のために施されていた塩を洗い流し、乾いた皮を再び水分を含んだ柔らかい状態に戻す作業です。
その後、「フレッシング」という工程で、皮の裏側に残った脂肪や筋、肉片などを機械で丁寧に削り取ります。
この作業は、仕上がりの美しさや耐久性を大きく左右する重要な下準備です。
次に行うのが「石灰漬け(ライミング)」です。
原皮を石灰(Ca(OH)₂)や硫化ナトリウムを溶かしたアルカリ性溶液に漬け込み、毛や表皮を除去します。
この工程によって皮は膨潤し、繊維がほぐれ、のちのなめし剤が浸透しやすい状態になります。
かつては手作業で毛を剃っていましたが、現在ではほとんどが機械処理です。
石灰漬けはまた、皮の中のタンパク質を分解し、革特有のしなやかさを生み出す準備段階とも言えます。

石灰漬けの後は、皮がアルカリ性に偏っているため、「脱灰」と呼ばれる酸処理を行い、中性付近に戻します。
これを行わないと、後のなめし剤が浸透しにくくなってしまいます。
さらに、**酵素処理(ベイティング)**という工程を行い、皮中の不要なタンパク質を分解して柔軟性を高めます。
この段階で皮は、いよいよ「なめし」に進む準備が整います。
ここが革づくりの「心臓部」といえる工程です。
なめしとは、皮を腐敗せず、丈夫でしなやかな素材「革」へと変える処理のこと。
なめしによって「皮」が「革」になる瞬間が訪れます。
古代から伝わる伝統的な方法で、樹皮などに含まれる天然成分「タンニン」を用いてなめす手法です。
手間と時間がかかりますが、繊維がしっかりと詰まった堅牢な革が得られ、エイジング(経年変化)も美しいのが特徴です。
高級革製品や伝統的な馬具などに用いられます。
19世紀末に開発された近代的な方法で、三価クロム塩を使用します。
短時間で大量に処理でき、柔軟で軽い革に仕上がるため、現在の革の約80〜90%はこの方法で作られています。
衣料や靴、バッグなど、幅広い製品に使われます。
植物タンニンとクロムの両方を組み合わせる手法。
クロムの柔軟性とタンニンの堅牢さを併せ持つ革が得られます。
現代の高級レザーによく用いられるバランスの良い方法です。
なめしが終わった革は「ウェットブルー」と呼ばれる淡青色の状態になります(クロムなめしの場合)。
この段階では厚みが不均一なため、「スプリットマシン」で均一な厚さに分割します。
上面(銀面)を「銀付き革」、下面(床面)を「床革」と呼びます。
銀付き革は高級革製品に、床革は裏張りやスウェードなどに使われます。
その後、さらに「シェービングマシン」で細かく厚みを整え、最終的な製品用途に合わせて調整されます。
革の厚みが整ったら、「再なめし」や「染色」、「加脂」などの工程に進みます。
これは革の性質や色、柔軟さを決定づける重要な段階です。
この段階で、革に命が宿るといっても過言ではありません。
革特有の香りもこの工程で生まれます。
Leather crafting DIY tools flat lay still life[/caption]
染色と加脂を終えた革は水分を多く含んでいるため、「真空乾燥」や「吊り乾燥」、「板張り乾燥」などの方法で乾かされます。
乾燥後は「ストレッチング」や「ミリング(ドラム回転でほぐす)」を行い、しなやかさを出します。
この工程で革の手触り(ハンドフィール)が決まるため、職人は革の特性を見極めながら慎重に調整します。
革の最終段階が「仕上げ(フィニッシング)」です。
ここで革の用途に合わせた表情を与えます。
顔料をスプレーで吹き付け、表面を均一に整えます。
キズやムラが少なく扱いやすいため、大量生産品によく使われます。
顔料ではなく染料で仕上げる方法で、革本来の風合いが活かされます。
一方で、キズやシボ(シワ模様)がそのまま見えるため、素材の質が問われます。
表面に模様をプレスして、独特の質感を出す方法です。
クロコ調、リザード調など多様なデザインが可能で、ファッション性を高めます。
最後に「アイロン仕上げ」や「グレージング(磨き上げ)」を施し、艶やかで高級感のある革が完成します。
完成した革は、色ムラやキズ、厚みなどを一枚一枚チェックし、厳しい検品を経て出荷されます。
上質な革は世界中のブランドや職人のもとへと旅立ち、財布、鞄、靴、家具などに生まれ変わります。
この時点でようやく、革は「素材」としての役目を果たす準備が整ったのです。
近年、革産業は環境負荷の低減に向けて大きく変化しています。
なめし工程で使用される薬品の管理、廃水の再利用、植物由来のなめし剤の開発など、**「サステナブルレザー」**への取り組みが進んでいます。
たとえばイタリア・トスカーナ地方のタンナー協会では、環境に優しい植物タンニンなめしを推奨し、再生可能な資源を活用しています。
日本でも、姫路や栃木の革職人たちが、自然環境と共存する革づくりに力を注いでいます。

革ができるまでには、実に多くの工程と職人の手が関わっています。
原皮の調達から、なめし、染色、仕上げに至るまで、ひとつとして無駄な工程はありません。
それぞれの段階で、動物の命を無駄にしないという「敬意」と「技術」が込められています。
私たちが手にする革製品は、単なるファッションアイテムではなく、長い歴史と人の想い、そして自然の恵みが宿る素材なのです。
革は使い込むほどに味わいを増し、持ち主と共に時を刻みます。
その温もりや香りの裏に隠された「命のリレー」を思い浮かべながら、これからも革と共に歩んでいきたいものです。
革研究所 札幌店
住所:札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F
電話番号:011-600-6858
営業時間:平日10~19時
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