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2026/01/15

革のリサイクルとは何か?

循環するレザー文化の未来を探る

革製品は古くから生活の中にあり、耐久性・風合い・エイジングの美しさなど、他の素材では代替しにくい魅力を持っています。しかしその一方で、「革のリサイクル」は他素材と比べまだ浸透しておらず、多くの革製品が役目を終えると廃棄されているのが現状です。

近年では持続可能性(サステナビリティ)が世界的なテーマとなり、革産業にも環境配慮の取り組みが求められています。そんな中、“革のリサイクル”は新しい価値創出の鍵として注目を浴びています。

本記事では、

  • 革のリサイクルは何が難しいのか

  • 現在どんなリサイクル技術が実現しているのか

  • レザー業界の新しい循環型モデルとは

  • 一般ユーザーができる「身近なリサイクル」

などを総合的にまとめます。

なめし革

1. なぜ革のリサイクルは難しいのか?素材特性から見る課題

革は天然素材でありながら、そのままでは腐敗してしまうため、製品に加工する過程で「鞣(なめ)し」という科学処理が行われます。
この鞣し工程こそが革の耐久性や美しさを生む理由ですが、同時にリサイクルを難しくする原因にもなっています。

●① クロム鞣し革の分解が難しい

現在の革製品の約8~9割は「クロム鞣し」と呼ばれる方法で加工されています。これはコストが安く耐久性も高いため産業で広く使われていますが、クロムは安定した構造を持ち、分解・再加工が極めて難しい素材。

そのため、革を再び革に戻すようなリサイクルはほとんど行われてきませんでした。

●② 製品ごとの複合素材化

現代の革製品は、革だけでできているわけではありません。

  • 裏地の生地

  • 金具(ファスナー、ホック)

  • 塗料・接着剤

  • プラスチック芯材

  • クッション材

など、多様な素材が組み合わされています。
これらを“分別してリサイクルする”のは技術的にもコスト的にも非常にハードルが高いのです。

●③ 革そのものが「一点物」である難しさ

そもそも天然皮革は、個体差があり品質や厚みも統一されていません。機械的にまとめて粉砕・再成形するリサイクル技術が発展しにくい背景がここにあります。

2. それでも革はリサイクルできる!世界で広がる4つの方法

難しいと言われてきた革のリサイクルですが、近年では環境意識の高まりと技術革新により、新たな方法が次々に登場しています。

以下では、現在実現している代表的な革リサイクル技術を紹介します。

【方法1】革の“粉砕再生”――リコンスティテューテッドレザー(再生皮革)

最も普及している技術が、革の端材や古い革を細かく粉砕し、樹脂やラテックスと混ぜてシート状に再成形する方法です。
いわゆる 「本革の繊維を使った再生皮革」 と呼ばれるもので、家具、書籍カバー、小物、インテリアなどで広く活用されています。

●メリット

  • 革の端材を大量に再利用できる

  • 均質な素材として大量生産できる

  • 見た目や耐久性は本革に近い

●デメリット

  • 樹脂が混ざるため“純粋な革”ではない

  • 使い込むと劣化が早いものもある

工場から出る端材を再利用することで、革産業の廃棄物を大幅に減らせる点が評価されています。

【方法2】ボンドレザー(接着革)――高強度で工業利用も可能に

「ボンドレザー」とは、革の粉砕繊維を高圧下で接着して固めた材料です。
紙のように薄くもできる一方、厚みを増せば合板のような強度も出せるため、工業材料としての応用が進んでいます。

用途

  • スピーカーの吸音材

  • 自動車内装

  • 家具補強材

  • 文具・ノートの表紙

革の風合いを活かしつつ、強度が必要な場面で採用されているのが特徴です。

【方法3】化学解体による「再タンニン化」技術

ごく一部の専門企業では、革の鞣し加工そのものを分解し、再び革として使える状態に戻す研究が進んでいます。

革を化学処理により繊維レベルまで分解し、タンニン鞣し直す「リ・タンニング」と呼ばれる技術です。

現状の課題

  • まだ工業規模での実施は限定的

  • コストが高い

  • クロム鞣しの完全リサイクルは未解決部分も多い

しかし、革そのものを“革として”再生できる可能性は革新的であり、業界から熱視線を浴びています。

【方法4】アップサイクル(創作的再利用)――最も広がっている実践型リサイクル

技術を必要としない、もっとも身近な革リサイクルが「アップサイクル」です。
古い革製品から部品を切り出し、まったく新しいアイテムに作りかえる方法です。

代表例

  • 古い革ジャケット → バッグ、ポーチ、名刺入れ

  • 破れたソファの革 → 小物、キーホルダー

  • 革靴 → リメイク小物、チャーム

  • 工場の端革 → アクセサリー、手芸材料

アップサイクルは世界中で人気が高まり、ハンドクラフト、アート、ブランドの限定コレクションなど、多様な広がりを見せています。

革修理キット

 

3. 日本・海外ブランドのリサイクル革の取り組み

サステナビリティの潮流の中、多くのファッションブランドやタンナー(革工場)が独自のリサイクル活動を始めています。

●日本:端材の回収・アップサイクルが盛ん

日本の革産地(姫路・栃木・浅草など)では、以下のような動きが目立ちます。

  • 工場から出る端材をクラフト作家に提供

  • リサイクルレザーの開発

  • リメイク専門ブランドの登場

  • 使い込んだ革製品の再仕上げ・再染色サービス

特に浅草周辺では「端革ショップ」やリメイク系工房が増加し、革の循環文化が定着しつつあります。

●ヨーロッパ:大手ブランドが“循環レザー”へ投資

イタリア・スペイン・フランスは革産業が盛んで、エルメスやグッチ、ロエベなどラグジュアリーブランドもリサイクル革の研究を進めています。

  • 工場端材を再生して新たな高級素材に

  • レザー残渣から作るバイオガス

  • 革製品の修理・リペア専門部署を設置

  • 消費者から不要革バッグを回収するプログラム

高級ブランドは「長く使える革」に価値を置くため、修理とリサイクルの文化が非常に重視されています。

●北欧:サーキュラーエコノミーを前提にした革産業

スウェーデンやデンマークでは、革製品を廃棄物として扱わず、「資源」として捉える政策が進んでいます。

  • 革の端材を子ども向け教材に提供

  • 解体しやすい“モジュール構造の革製品”を設計

  • 中古革市場の活性化

北欧では“誰が使っても循環する”クリアなレザー文化を構築しようとしています。

4. 革リサイクルで生まれる新産業やビジネスチャンス

革のリサイクルは、環境に優しいだけではなく新しい市場を生む「成長分野」でもあります。
ここでは、現在注目されている革リサイクル関連の産業を紹介します。

① リメイク・リペア専門店の増加

中古革製品の価値が見直され、修理業が急成長しています。

  • クリーニング

  • 染め直し

  • 部分張替え

  • パーツ交換

  • サイズ補正

特に日本では職人の技術が高く、世界から依頼が来るケースも増えています。

② リサイクル革素材の製造産業

・粉砕再生レザー
・ボンドレザー
・アップサイクル素材

これらは「環境負荷の低さ」を武器に企業が商品開発に取り入れています。

③ 中古革製品マーケットの拡大

メルカリ・ラクマ・ヤフオク・海外のVintedなど、二次流通市場が急成長。
革製品は新品よりも中古のほうが“味がある”ため、積極的に売買されています。

④ 学校・アート・クラフト市場での再利用

革端材は教育やアート素材として非常に人気です。
ワークショップ・子供向け創作体験・公共施設での手芸教室などで活用されています。

なめし革色々

5. 革のリサイクルを家庭レベルで実践する方法

革リサイクルは企業だけのものではありません。
個人でも簡単に実践できる方法がたくさんあります。

●① 革製品を長く使う(=最大のリサイクル)

  • クリームで保湿

  • 汚れ落とし

  • 定期的なブラッシング

  • 防水スプレーで保護

これらを行えば、革は10年どころか20年、30年持つことも珍しくありません。

●② 修理・メンテナンスを活用

  • 急な破れ → 張替え

  • 色褪せ → 再染色

  • 革の乾燥 → オイル調整

  • 革靴のソール交換

新品に買い替えるより環境負荷が少なく、費用も抑えられます。

●③ 端革素材を活用してDIY

  • キーホルダー

  • コインケース

  • バンド

  • トレイ

  • アクセサリー

小さな端革でも多様な作品が作れます。

●④ 中古革製品として売る・譲る

フリマアプリに出品することで、

  • まだ使える革が捨てられずに済む

  • ユーザーに新しい価値を与える

という立派なリサイクルになります。

●⑤ アップサイクル業者に依頼

革ジャケットやソファなど大きな革製品は、専門業者に依頼することで美しいリメイク品に生まれ変わります。

6. 革リサイクルの未来:循環型社会で革はどう進化するか?

今後、革のリサイクルは世界的にさらに進むと言われています。
その理由として、以下の3つが挙げられます。

① 環境規制の強化

EUを中心に「廃棄物削減」「天然資源の循環」が政策に組み込まれています。
革産業は影響を受けやすく、再利用技術の普及は不可避です。

② 技術革新:化学分解や再タンニン技術の発展

新技術が進めば、今まで不可能だったクロム革の完全リサイクルも視野に入ります。

③ 消費者の価値観の変化

「古いものを大切にする」
「持続可能な素材を選ぶ」
という意識が広がり、修理・リサイクル文化が一般化しつつあります。

様々な革バッグ

7. まとめ:革のリサイクルは“物語をつなぐ文化”へ

革のリサイクルは単なる環境対策ではありません。
むしろ、「革製品が持つ物語を次の世代につなぐ文化」と言えます。

  • 使い込んだ革の味を次のアイテムに受け継ぐ

  • 捨てずに再生させることで、新たな価値が生まれる

  • 技術と創造性が合わさり“循環するレザー文化”が育つ

革のリサイクルは、未来の持続可能な社会に大きく貢献する可能性を秘めています。

あなた自身が持っている革製品も、
「捨てる」から「活かす」へ。
その一歩が、革の未来をつくることにつながります。

 

店舗情報:革のことなら何でも!

革研究所 札幌店

住所:札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F

電話番号:011-600-6858

営業時間:平日10~19時

修理対応エリア:北海道 札幌市全域エリア

革研究所HP:https://sapporo-kawa-kenkyujyo.com/

革修理対応製品

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革鞄・バック

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革の鞄(カバン)のスレやキズの補修、変色、革の色を変える(カラーチェンジ)までお任せください。VUITTON(ヴィトン)GUCCI(グッチ)等の革ブランド品も修理可能です。

財布・小物

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革財布(サイフ)、小銭入れ、キーケース等の小物全般の革のキズ、スレをキレイに修理いたします。CHANEL(シャネル)GUCCI(グッチ)等のブランド革小物の修理ももちろんOKです。

革靴・ブーツ

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男性物の革靴、女性物のブーツ等靴の革修理(スレ・キズの補修)も可能です。思い出の有る革靴等の修理はお任せください。もちろん革靴の修理に関してもブランド靴の修理可能です。

革衣類

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革ジャン、革コート・革のジャケット等革衣類の修理、補修もお任せください。部分的なスレ・キズの補修から、革全体の色を変える(カラーチェンジ)まで幅広く対応いたします。

ソファー・椅子

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革ソファー・革の椅子の修理実績も多数ございます。痛み具合によっては革の張替えも可能です。カッシーナ(CASSNA)等のブランドソファー修理もお気軽にご相談ください。

自動車内装

自動車内装

自動車の革ハンドル・革シートの修理(リペア)も可能です。ベンツ・BMWなどの高級外車から、国産の自動車まで数多くの修理実績がございますのでお気軽にお問合せください。

店舗情報

革研究所 札幌店

代表者 城台 悦史
所在地 札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F
TEL 011-600-6858

対応エリア
北海道 札幌市全域エリア

当店の革修理は革の事を知り尽くした熟練職人が一点一点丁寧に修理・補修いたします。思い出の有る大切な革製品を安心してお任せください。また、ブランド品(VUITTON・CHANEL・GUCCI等)の革修理経験も豊富です。革のキズやスレの補修はお任せください。革修理の御見積やお問合せはもちろん無料です。

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