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革修理ブログ
2026/01/14
サステナブルな革製品とは?

かつて、革は「丈夫で長く使える天然素材」として、多くの人に愛されてきました。
しかし近年、「サステナブル(持続可能)」という言葉が世界的に広まるにつれ、革製品にも環境への影響や動物倫理など、さまざまな議論が生まれています。
「革は動物から作られるからエコではないのでは?」
「合成皮革のほうが環境に優しいのでは?」
このような疑問を持つ人も少なくありません。
ですが実は、革には「サステナブルな側面」も数多く存在します。
動物の命を無駄にしないという考え方、長く使えることで廃棄物を減らすこと、そして近年進化している環境配慮型の製造方法など。
本記事では、「サステナブルな革製品」をテーマに、革の環境問題とその解決への取り組み、革の新しい可能性について詳しく解説していきます。
革製品が批判される理由の一つに、「環境負荷の高さ」があります。
特に問題視されるのは、「なめし工程」と呼ばれる革の加工段階です。
現在、市場で流通している革の約8割は「クロムなめし」と呼ばれる化学的手法で加工されています。
クロムなめしはスピーディーで柔軟な革を作れる一方、化学薬品や水の大量使用、廃液処理の問題が避けられません。
適切に処理されない廃液は、土壌や河川を汚染するリスクがあるため、途上国の一部地域では深刻な環境問題となっています。
革は牛や羊などの副産物として生まれます。つまり、革そのものが畜産業の廃棄物を再利用したものでもあるのです。
肉を食べる文化が存在する限り、動物の皮を使わないまま廃棄するのは、むしろ環境的に非効率だという考え方もあります。
このように、革は「悪者」とされがちですが、その実態はもっと複雑。
問題は「革を作ること」そのものではなく、「どう作るか」にあるのです。
では、どのようにして革を「地球にやさしい素材」へと変えていくのでしょうか。
そのカギを握るのが、なめし技術の革新とトレーサビリティの確立です。
もっとも代表的なサステナブルレザーのひとつが「植物タンニンなめし(ベジタブルタンニンなめし)」です。
樹皮や果実、木の根などに含まれるタンニン(渋み成分)を使って革をなめす方法で、化学薬品を使いません。
時間はかかりますが、完成した革は堅牢で使い込むほどに味わいが深まります。
「使いながら育てる」という楽しみがあり、長く使える=サステナブルという観点でも非常に価値があります。
日本の老舗タンナー(革工場)やイタリアのトスカーナ地方では、この製法を現代的に復活させ、環境負荷を減らしながらも美しい革づくりを続けています。
製造工程で出る端切れや削り粉などを再利用した「リサイクルレザー」も注目されています。
これらは粉砕した革繊維を樹脂と混ぜて再形成するもので、資源の再利用と廃棄削減の両立が可能です。
一方で、リサイクルレザーは本革と比べて通気性や風合いが劣る場合もありますが、技術の進歩によってその差は縮まりつつあります。
欧州ではすでに多くのブランドがこの素材を採用し、「再生革=安価で粗悪」ではないという新しい価値観が広がっています。
環境配慮型レザーを客観的に評価するため、「エコレザー」認証制度も整備されています。
たとえば日本では、「日本エコレザー認定制度(JES)」があり、
・環境汚染物質の制限
・製造過程での排水・排気基準
・労働環境の安全性
など、さまざまな基準を満たした革にだけ「エコレザー」マークが与えられます。
海外では、イタリアの「ICEC」やドイツの「Blauer Engel(ブルーエンジェル)」なども有名です。
これらの認証が普及することで、消費者は安心してサステナブルな革を選べるようになってきています。
革が他の素材と決定的に違うのは、「長く使えること」です。
これは単なる機能的な強みではなく、環境保護の観点からも大きな意味を持ちます。
近年は、ファストファッションの影響で安価な合皮製品が大量に出回っています。
しかし、合皮は数年で劣化してボロボロになり、修理が難しいという欠点があります。
対して本革は、適切なケアを行えば10年、20年と使い続けられる素材です。
さらに、傷やシミさえも「味」や「個性」として愛される点が、革の魅力のひとつ。
長く使うほど愛着が増し、「修理しながら大切に使う」という循環的な価値観が生まれます。
これこそが、サステナブルな精神そのものと言えるでしょう。
日本には古くから「もったいない」という美徳があります。
この考え方は革製品にも通じており、財布やバッグ、靴などを修理して再び使う文化が根付いています。
たとえば、擦れた角を補修したり、ファスナーを交換したり、革の再染色を施すことで新品同様に蘇らせることができます。
こうした「リペアによる延命」は、廃棄物削減と職人技の継承にもつながるのです。

動物由来の革に代わり、植物や微生物を使った新素材も次々と登場しています。
それが「ヴィーガンレザー(代替レザー)」です。
パイナップルの葉から取れる繊維を使った革風素材。
農業廃棄物を再利用しており、ゼロ・ウェイストに近い理想的素材として注目されています。
柔らかく通気性があり、バッグやスニーカーにも利用されています。
キノコの菌糸体(マイセリウム)を培養して作られた革。
米国の企業Bolt Threadsが開発しており、環境負荷を90%以上削減できるとされています。
アディダスやステラ・マッカートニーなどが採用を進めています。
ワイン生産の副産物であるコルクや、リンゴの搾りかすを再利用するケースも増えています。
いずれも廃棄物の有効活用と動物倫理への配慮を両立する新しい方向性です。
ただし、これらの多くは「革の代替」であり、「革そのものの持続可能な進化」とは別のアプローチです。
つまり、「本革の再定義」と「新素材の開発」、この両輪がサステナブルな未来を支えています。
植物タンニンなめしの革を使用し、すべてフィレンツェの職人が手作業で仕上げるブランド。
「長く使うほど美しくなる革」を理念とし、修理サービスも充実。
真の意味でサステナブルなブランドの代表格です。
再生可能エネルギーによる工場運営、トレーサブルなレザー調達を実現。
環境報告書を公開し、透明性の高いものづくりを進めています。
日本でも、環境配慮と職人技を融合させたブランドが増えています。
革の廃棄を減らす生産体制や、修理・再仕上げのサービスに力を入れるブランドが増加中です。
特に土屋鞄製造所は「永く使えるものを届ける」という理念を掲げ、”長寿命こそ最大のエコ”を体現しています。
サステナブルな革製品を支えるのは、メーカーだけではありません。
私たち消費者の選び方と使い方もまた、大きな力になります。
・定期的にクリームで保湿する
・水濡れを避け、風通しの良い場所で保管する
・不要になったらリユースや寄付を検討する
小さな意識の積み重ねが、革を“サステナブルな素材”として未来へ繋げる力になります。

革は、ただのファッション素材ではありません。
それは人類が何千年も前から使い続けてきた「生命の証」であり、自然との共生の象徴でもあります。
サステナブルな革製品とは、動物の命を尊び、自然を汚さず、職人技を未来へつなぐこと。
使い捨てではなく、手入れしながら育て、次の世代へ受け継ぐ。
その姿こそが、本来の“サステナビリティ”の形なのです。
革の持つ「永続する美しさ」は、まさにサステナブルの精神そのもの。
次に革製品を選ぶときは、その一枚の革がどんな旅を経てきたのかを想像してみてください。
きっとあなたの手の中の革が、地球と人をつなぐ優しい素材であることに気づくはずです。
革研究所 札幌店
住所:札幌市北区北34条西3丁目1-7北34条ビル1F
電話番号:011-600-6858
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